ベルギー ゲント大学合格体験記

ベルギーのゲント大学に合格するまでの体験記を書きました。ベルギーの大学を志望されている方はもちろん、海外大学院受験全般に共通する話も多いので参考になればと思います。特に、修士で学部と専攻を大きく変えて合格した一つの例として書き記しておきます。受験当時、専攻を変えた大学院受験の情報が少なくとても不安だったので、似たような状況の方のお役に立てば幸いです。

修士号への憧れ、夫のベルギー駐在決定

大学卒業時に金銭的理由から就職しましたが、本当は大学院でもっと勉強を続けたいと思っていました。会社で働き始めてからもその思いは消えるどころか、ますます強くなっていきました。仕事よりも大学で勉強していた時のほうが何倍も楽しかったからです。それは私の価値観や適性によるものもありますが、働く環境(長時間労働、男社会、セクハラ、パワハラ)が仕事を辛いものにしてしまっているという面もあったと思います。次第に、自分が職場で経験した辛い経験を一般化し、要因や対策を検討してみたい、そのような学問的手法を学んでみたいと考えるようになりました。

学部では外国語や外国文学を専攻していたため、大学院で研究する前に学部レベルの社会学を勉強しようと思い2021年4月に慶應通信に入学しました。夏期スクーリングでは念願かなって社会学の授業を受講し、やはり私はこのようなことを学びたいのだという思いが強くなりました。

そんな中、夫にベルギー駐在の話が舞い込みました。私も仕事を辞めて帯同するかどうかというところから悩みましたが、それはまた別の機会に。帯同することを決め、現地での仕事を探してみました。そこで修士号を要求されることが多いことに気づき、そういえば私は大学院に行きたかったんだということを思い出しました。その夢を叶えるのは今だ!ということでベルギーで大学院に通うことを決意しました。

出願校の決定

夫と一緒に住むためにブリュッセルから通える範囲の大学を探していたため、選択肢は自ずと絞られました。その他にもいくつか条件を加え、計4つの観点からスクリーニングをかけました。

  • ブリュッセルから通学できる
  • 世界的に評価の高い大学である(教育の質が高く、ネームバリューのある大学)
  • 英語で社会学が学べる
  • 受験資格を満たすことができる

1番目と2番目の条件で絞ると、KUルーベン、ゲント大学、ブリュッセル自由大学(ULB)の3校がヒットしました。ULBはブリュッセル市内にあるため通学時間が短いのが魅力的でしたが、シラバスによるとフランス語で開講される授業が多かったため諦めました。次にKUルーベンの出願要件を確認すると、社会学の学士に加え、英語でのレポート(卒論など)を提出することが要求されていました。少し社会学をかじっただけの私が英語で卒論レベルのレポートを提出することは難しいと感じ、KUルーベンの受験も断念しました。

ということで、消去法的に決まった出願校がゲント大学でした。とはいえ世界ランクでもTop100に入る名門であり、ゲントの街も非常に魅力的で、ぜひここで学びたい!と感じました。また、社会学の学士を持っていない学生向けにPreparatory Courseが開講されており、基礎から勉強したい私にとっては最適なコースでした。

出願書類の作成

志望校が決まった後は、募集要項に従い書類を作成していきました。出願書類はそれぞれ独立したものではなく、全体で一貫した自分の魅力を伝えることが大切です。

私がアピールしたいポイントは、「文化・社会への洞察力がある」「学んだことを社会で活かし、そこから新たな学びに繋げることができる」の2点でした。私は外国語学部出身で、インド諸言語や文学を勉強していました。社会学のバックグラウンドがなく具体的な話ができないため、自分の経歴から社会学でも必要とされるであろう能力をアピールしました。

2点目については、インドの言語を学んで仕事でもインドと関わった経験から、大学での学習にコミットし実生活で活かすことのできる人物だということをアピールしました。社会学という新しい分野にも真面目に取り組み社会に還元できるだろうということを、大学側にイメージしてもらおうと考えました。また、社会学をやる上で私の原体験や強みとなるのは社会人経験です。大学の学びと社会での実践を双方向に行き来できる人物だということを伝えました。

このように出願書類の作成においては、自分の経歴を棚卸し、大学が合格させたいと思うようなアピールポイントにうまく繋げていくことが大切だと考えます。

推薦状

出願書類の中でも推薦状だけは人に頼む必要があるため、一番初めに準備に取りかかりました。私は大学でお世話になった教授と准教授の二人に依頼しました。上記のアピールポイントを第三者から証明してもらうために、大学での成績が優秀だったこと、インドに留学や駐在をして学びを深めていることなどを記載してもらいました。人間性の面では、協調性があり、異文化環境でも問題なく対応できることなどを書いてもらいました。

推薦状を依頼したお二人のうちお一人はすでに退官されていたため、念のため大学にメールし問題ないか確認しました。

IELTSスコアメイク

ゲント大学の英語要件ではIELTS OA5.5以上が要求されていました。5.5であればそこまで高い要求ではないですが、IELTS対策を開始した時点では志望校を絞っていなかったので、ほとんどの大学の要件をクリアできる7.0を目標としていました。

IELTS対策についてはまた別の記事にまとめようと思いますが、主に単語を覚えて過去問を解くというシンプルな勉強法でした。模試でOA7.0、その2週間後に本番を受けOA7.5(L7.5/R8.0/W6.5/S7.0)を取ることができました。

大学院受験を決めたのが8月で、IELTSを受験したのが10月だったので約3か月間という短い期間でしたが集中して対策することができました。結果的に1回の受験で目標以上の点数が取れたので、出願時期を早めることができ、金銭的にもかなり助かりました。

エッセイ

出願書類の中でも重要度が高いのがエッセイだと思います。A4一枚の中に、下記の項目をすべて詰め込みました。

  • 自分が何者であるか(日本で働く女性)
  • なぜ社会学を学ぼうと思ったか
  • 学部時代の専攻→そこから社会学に活かせること
  • 卒業後の活動(社会人経験とそこから感じた問題点)
  • なぜベルギー、ゲント大学なのか
  • 自分を合格させることによる大学側のメリット(日本人女性というバックグラウンド、社会人経験)

冗長にならないように、適切な単語を使い密度の濃いエッセイを書くように心がけました。何度も推敲する中で、自分の過去・現在・未来を見つめなおすことができ、なぜ学びたいのかという問いへの答えが明確になっていきました。

迷ったのはWhy Belgium? Why this university?という点です。日本と異なる労働文化の国であるため比較研究を行いたいという建前や、シラバスを読み込んだ上でゲント大学の特徴を挙げましたが、なんとなく嘘くさい感じがしました。そこで悩んだ末、「夫の駐在でベルギーに住むため」という本当の理由も記載することにしました。その上で上記の理由で本当に魅力を感じていることも伝えました。アカデミックバックグラウンドを持つネイティブにも相談し、問題ないとのことでした。

エッセイを書く際に参考にしたので、カーティス・S・チン著『新装版 大学院留学のためのエッセーと推薦状 (留学応援シリーズ)』(アルク)という本です。質の高いエッセーが数多く掲載されており、非常に参考になりました。この本を読んでパラグラフの構成や表現など、自分のエッセイに応用できそうなものをメモしておくと役に立つと思います。

CV

CVにはあまり時間はかけず、経歴を端的に伝えることを意識しました。大学にとって重要な情報であろう順に

  • 学歴(大学、留学経験、通信の大学)
  • 職歴
  • 言語(英語、ヒンディー語)
  • 資格&スキル(USCPA、Excel、Word、PowerPointなど)
  • 趣味(旅行、フランス語、オランダ語)

を記載しました。内容は簡潔にし、見やすさにこだわりました。フォーマットはネットで見つけたものを少し変えて使用しました。

ちなみに、USCPAの全科目合格(ライセンス未取得かつ取得予定もない)は下記のように表現しました。ネイティブチェック済みですので、同じ状況の方はお使いください。

Successfully passed all four sections of the USCPA Exam (Month, 20XX)

合格の連絡

11月15日に出願完了し、12月1日に合格の連絡がメールで届きました。出願受付開始が10月1日だったので私の出願時期はかなり早いほうだったのではないかと思います。そのためか、合格の連絡も早く届きました。1校しか出願しておらず(というかできず)、専攻も変えていて不安だったので、合格したときはホッとしました。

1年目は60単位のPreparatory Courseを受講し、2年目に正式なMaster Courseを開始することになっています。英語要件以外でそのような言い方が正しいのか知らないのですが、私の合格はConditional offerに近いのかもしれません。

受験を通じて感じたことは、(おそらくヨーロッパの)大学院受験は落とすためのものではないということです。出願書類を集めるだけでも大変なことですが、要件を満たしてそこまでたどり着くことができれば合格は現実的なものとなります。ですが、合格はゴールではなくあくまで学ぶ機会を与えられたに過ぎません。しっかりと卒業できるよう気を引き締めてがんばります。そのために、入学前に英語や基礎科目の勉強の準備を行いたいと思います。

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